できるだけコスト抑え、安くて良質なものを、自分の希望通りに建てることができれば、それに越したことはありません。
最近は、テレビ番組や雑誌などでもたくさんの情報が提供されていて、デザインにこだわったり設備にこだわったり、”自分らしいもの”を作り上げていく方もかなり増えています。
一般的には、建築業者に設計・施工・検査など一括して任せてしまう場合が多いのですが、最近は、施主自身で設計士に設計のみを依頼、施工は違う業者が行い、さらに設備部分も施主自身で直接発注し、施工はまた別業者が行うというような、”分離発注”方式で建築する方もいらっしゃいます。
施主と設計士、施主と設備業者とが直接やりとりをして希望を伝えることができ、一括して任せてしまう場合に取られる中間マージンが省ける(コストダウン)、というメリットはあるようです。
デザインにこだわり、自分で探して気に入った設備を取り付け、コストダウンもできる・・・・
とても魅力的ではあります。
ただ、気を付けなければいけないことも当然あります。
デザインにこだわれば、本来の施工方法では無理な場合もあり、雨漏りの原因になったり、築年数が浅い場合に何か不具合が生じても、本来は業者が責 任を負う場合が多いのですが、施主自身で直接別々の設計士・業者などに発注しているため、責任の所在がはっきりせず、どこも責任を負わず対応してもらえな い、というトラブルも多くなっています。
すべてを一括して任せれば安心、というものでもありませんので、一括・分離どちらのほうがおすすめとは言えません。どちらにもメリット・デメリットがあります。
それぞれのこだわりや条件などによって、何が必要で何にこだわりたいのかをはっきりさせることが大切です。
一括の場合でも分離の場合でも、施主は建築に関して素人の場合が多く、各業者からの説明をすべて理解するのも難しいと思いますし、責任の所在がはっきりしないものや、ごまかせそうなものは、きちんと説明がされないまま責任逃れをされる場合もあります。
せっかく省いた中間マージンでコストダウンした以上に、費用と労力がかかってしまう場合も少なくありません。
それだけでなく、せっかく建てた希望の家が、雨漏りがひどかったり、強度が弱かったり、傾いてしまったりでは、精神的にも辛いものがあります。
建築に詳しい施主が建てる場合は別としても、使われる材料や構造・工法などは、専門家の説明をきちんと受けることも大切です。
雨漏りが発生したり、床が傾いて建具の歪みが起こってしまったり・・・生活を始めてから起こる不具合は意外に多いものです。
デザイン性・コストダウン・こだわり・・・・・当然必要なことだと思いますが、それ以上に、どこにどんな方法で依頼するか、これは建てた後もずっと関わってくる大切な選択になります。
自分にとって一番快適な生活を送るための選択です。
そして、施主から選んでもらった業者側は、施主の信頼を裏切ることにならないよう、快適な生活を送っていただけるよう、正直で丁寧な対応が何より必要です。