以前、住宅メーカーで経理事務をしていた時、住宅・建築関係の仕事は初めてだった私が、驚いた出来事がありました。
事務所の代表番号が経理部門でしたので、外線はまず経理の女性陣が受けることになっていました。
台風の通過でかなりの雨が降った翌朝、出勤してみると電話が鳴りっぱなし。
そのほとんどが「雨漏り」の苦情。
しかも、まだ築年数の浅い住宅も多いのです。
中には、「壁からジャージャー水が流れてる!」というお宅も・・・
(えっ!?雨漏りってこんなに多いの?)
と、驚いている暇もないくらい、ひっきりなしに電話がかかってきます。
当然、営業担当も全員、お客様対応で駆け回っていて、すぐに伺えないお宅のほうが多いわけです。
お客様からすれば、 風雨をしのぐはずの屋内に水が入ってくるのですから、
心中穏やかでないのは当然のことで、 電話の向こうの怒りももっともです。
電話では、状況を伺うことと、 今すぐ伺えないことを心から謝ることぐらいしかできません。
何もできないことが、 申し訳なくて情けなかったことを覚えています。
台風に限らず、雨量が多く、特に風が強い場合、「雨漏り」電話が殺到。
雨が降るたびに、(雨漏りってこんなに多いんだ・・・) と実感しました。
私自身が住んでいるところで、たまたま雨漏りを経験したことがないというだけで、地下街・ビル・病院・学校・・・そういえば、 いろんなところで壁や床が濡れていて、「漏水注意」「雨漏り注意」、 たまにそんな貼紙を見かけることを思い出します。自分が運良く直接被害にあっていないだけで、「雨漏り」 被害の多さを感じる出来事でした。
「雨漏り」と一言で言っても、 簡単な原因から複数の要因が重なって起こるものまで、様々な原因と症状があります。
私は15年程、コンピュータのプログラムやシステムを作る仕事をしていましたが 、家造りとプログラミング、雨漏りとプログラムのバグ(間違い) が重なってしまいます。
様々な動きを想定してプログラムを組み、バグのチェックをするのですが、その想定が完璧ではない場合(残念ながら、完璧な場合はないのかもしれませんが・・・)、予想しないデータで、エラーが起こってしまったり、 出てきた結果が正しくなかったりします。
雨漏りも、予想以上の雨量だったり、風向きや風の強さが違ったりした場合にしか起こらないものもあるでしょう。
その場合のプログラムのバグつぶし作業と、雨漏り原因の調査は、画面に向かって作業をしているのか、
体を動かして作業をしているのかの違いはありますが、 思考の回路や作業手順は同じだと思います。
すべてを想定して、その時点で最善の方法だと思う対策をしていても、起こってしまう場合もあります。
考えられるすべての原因をつぶし対策を講じる。
お客様のためには、コツコツと丁寧に、一つ一つの作業を積み重ねて行くしかないありません。
最初から完璧なものをつくることが出来れば、それが一番望ましいことではありますが、現実的に“完璧”というのはなかなか難しいものです。
少しでも“完璧”に近づけるよう、経験を積み重ね、 知識を習得し、それを最大限に活かす努力をしていきたいと思っています。