雨漏りのメカニズム
そもそも雨漏りは何故おきるのでしょうか?
建物を建築する側からその理由を考えた時に、2つの大きな理由があります。まず第一に、建物を建築する側に雨漏り防止に関する「知識」が不足しているというケースが考えられます。
もっとも、あまりにも基本的な建築の知識が不足しているような低レベルの建築業者は 論外ですが、現実問題として、大手ハウスメーカーやそれなりに実績のある工務店が建てた物件においても雨漏りトラブルが多発している現状を考えても、単な る知識不足という一言で片付けられる問題ではなさそうです。
つまり、基本的な建築知識以外に、「雨漏り」を防ぐための「雨漏り」に関する専門的な知識が必要だということでしょう。そして、その部分の知識が不足しているために雨漏りが起きてしまうわけです。
二つめは、建物を建築する際に何らかの不具合や施工不良を起こしてしまっているケー スがあります。つまり雨漏りを防ぐための知識は充分あったにもかかわらず施工管理や施工指示の甘さから、正しい施工が為されていないことで、本来は防げる はずの雨漏りが起きてしまっているわけです。
具体的な例をあげると、本来であれば捨てフェルトの下に差し込むべきアスファルトフェルトを捨てフェルトの上に貼りこんでしまい、せっかくの捨てフェルトを無意味にしてしまうようなケースは、雨漏りに関する知識が不足しているケースの代表事例です。
また、工事期間中の強風などで暴れた捨てフェルトが破れてしまっているのに気付かずにそのまま工事を進めてしまったようなケースは施工管理の甘さにより不具合となってしまう典型的なケースです。
このように雨漏りが起きてしまう原因には「知識不足」と「施工不良」という2つの理由が考えられるわけですが、それらの直接的な原因の他に、建設業界が抱える根本的な問題も「雨漏りトラブル」が起きてしまう遠因となっています。
それはバブル時代の異常な建設ラッシュなどの影響で、技術者の世代間における技術や知識の継承がうまくいかなかったことです。
未曽有の好景気の中、慢性的な人手不足に陥った建設業界は、経験の浅い若手の技術者 に充分な教育・育成をしないままどんどん現場に送り出してしまい、それらの技術者は必要な知識や経験を得ないまま、今、建設業界の中心を担っています。バ ブルは彼らから学ぶ機会を奪ってしまったのです。
昨今、「雨漏りトラブル」が急増しているのにはこのような理由があったのです。